2017 年 63 巻 1 号 p. 34-40
3種類のレゾルシノール樹脂接着剤(RF),3種類の水性高分子-イソシアネート系木材接着剤(API),および変性酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤(VAE)の,計7種類の接着剤を使用して5プライのスギ集成材を作製した後木材保存剤で処理し,接着層を水平として10年間の屋外暴露試験に供した。暴露1,3,5および10年で試験片を採取してブロックせん断試験を行った。暴露10年後の全試験片でせん断強度を比較すると,接着剤間で有意な差が認められた。また,個々の接着剤を対にしてせん断強度を比較した結果,有意差が認められた対比較はすべてVAEを含んでいた。せん断強度のばらつきは暴露10年が最も大きく,7接着剤中ではVAEのばらつきが最も大きかった。せん断強度の分布の適合性を正規,対数正規,2Pワイブル,3Pワイブルについて調べたところ,VAEのみ暴露1年以降はいずれの分布形にも適合しなかった。木部破断率平均値は暴露期間に伴い漸減したものの,各接着剤とも暴露10年後で80%以上であり,接着剤間の差は明確ではなかった。