2017 年 63 巻 3 号 p. 119-125
本研究の目的は,水性高分子-イソシアネート系接着剤で接着した集成材中の接着剤塗布量分布を,そのX線透過像から得られる情報から非破壊的に推定する方法を開発することであった。集成材のX線透過像を接着前と接着後の2段階に渡って撮影し,それら2段階におけるX線透過像の濃淡値を比較することにより,集成材接着面における2次元的な接着剤塗布量分布を推定する手法を提案した。妥当性検証の結果,本手法は精度の良いものであり,とくに集成材の接着面における接着剤の多い部分,少ない部分といった分布傾向をうまく可視化できることが示された。この手法は接着剤の2次元的分布を集成材ごとに非破壊で測定可能であることから,木材接着に関するさまざまな基礎研究への活用だけでなく,産業的な応用も期待できる。