木材学会誌
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カテゴリーII
乾燥処理がスギ板材の抽出成分に与える影響
中温乾燥によるテルペン類の量的変化
奥田 拓中川 敏法村野 朋哉三好 悠亀井 裕人佐々木 隆雄三枝 康弘和田 善行湊 俊司阪井 彰一千里 泰三藤本 登留清水 邦義
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2017 年 63 巻 5 号 p. 204-213

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抄録

中温乾燥がスギ板材中のテルペン類に与える量的影響を検討するため,減圧乾燥・蒸気加熱式乾燥・電気加熱式乾燥・天然乾燥に供したスギ板材の抽出成分をガスクロマトグラフ質量分析計 (GC/MS) で分析した。板材を3切削面 (粗材面・仕上面・材中層面) に分けて評価した結果,天然乾燥材に比べ,GC/MSで検出された成分の総量は減圧乾燥材の全切削面で少ないこと,セスキテルペン炭化水素は減圧乾燥材の全切削面,蒸気加熱式乾燥材の粗材面と仕上面,電気加熱式乾燥材の粗材面で少ないこと,含酸素セスキテルペンは減圧乾燥材と蒸気加熱式乾燥材の粗材面で少ないこと,ジテルペン炭化水素の含有量には乾燥方法の違いによる有意差はみられないこと,含酸素ジテルペンは電気加熱式乾燥材の材中層面で少ないことが分かった。以上より中温乾燥したスギ板材では一部のテルペン類が天然乾燥材に比べ少ないことが明らかになった。

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© 2017 一般社団法人 日本木材学会
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