木材学会誌
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カテゴリーI
迅速チオグリコール酸リグニン定量法の様々なバイオマス試料における適用性
島田 菜津美津山 濯亀井 一郎
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2019 年 65 巻 1 号 p. 25-32

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抄録

非木質材料を含む多種多検体バイオマス試料の迅速なリグニン量評価に向け,本研究ではチオグリコール酸(TGA)法を迅速化した。迅速TGA(rTGA)法は既存法の,1M NaOHでのTGAリグニン抽出時間を16hから1hに,濃塩酸滴下後のTGAリグニン沈殿操作を4℃4hから転倒混和のみに短縮した方法である。rTGA法で得たリグニン量は,様々な試料で従来法と有意差が無かった。さらに,rTGA法で得たTGAリグニン沈殿を凍結乾燥し秤量することでリグニン量を求める,迅速TGA重量(grTGA)法を考案した。木部試料のリグニン含有量はクラソン法とgrTGA法どちらの手法でもおよそ同等であったが,スギ葉のリグニン含有量はクラソン法よりもgrTGA法の方がかなり低かった。組織化学的解析でスギ葉の木化細胞がわずかであったことから,葉のリグニン定量はgrTGA法がクラソン法よりも適することが示唆された。

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© 2019 一般社団法人 日本木材学会
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