木材学会誌
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カテゴリーIII
難燃処理木材で被覆した直交集成板(CLT)の2時間耐火性能
原田 寿郎 上川 大輔宮武 敦新藤 健太服部 順昭安藤 恵介宮林 正幸
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2019 年 65 巻 1 号 p. 46-53

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抄録

難燃薬剤を注入した木材(難燃処理木材)で被覆することによりCLTに2時間耐火性能を付与できる技術開発を目指し,研究を行った。壁の加熱試験においては,難燃処理木材(スギ)のパネルを同一層のパネル同士は突きつけにして,2層ネジ留めにより直交積層して,総厚さを90 mmの被覆層とした壁試験体を作製し,2時間耐火試験を行ったが,荷重支持部であるCLTが燃焼し,耐火性能を付与することができなかった。床試験では,厚さ方向は積層接着により一体化し,総厚さを100mmとした難燃処理木材積層パネルとした。パネルの目地の仕様は難燃処理した雇い実または片側スプラインとし,CLTには座掘りをしてネジ留めした。この試験体の2時間耐火試験を行ったところ,発炎燃焼は放冷中に終了し,炭化も被覆層で止まることが明らかとなった。これにより,難燃処理木材を用いてCLTに2時間耐火性能を付与可能な仕様を開発することができた。

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© 2019 一般社団法人 日本木材学会
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