2020 年 66 巻 1 号 p. 8-15
CLT(クロス・ラミネイティド・ティンバー)の木口面の部分圧縮性能は,接合部の性能を考える際に重要となる。しかし,既往実験では支圧幅や余長が限定された範囲の検討にとどまっている。本報では,スギCLTを用いて木口面の部分圧縮性能(降伏応力,初期剛性,二次剛性)に寄与する影響因子を実験的に把握した。実験は支圧幅,支圧位置,幅はぎ接着の有無,余長をパラメータとし,単調圧縮載荷とした。結果として,支圧幅と余長,幅はぎ接着の有無が部分圧縮性能に大きく寄与し,支圧位置はあまり寄与しないことが分かった。支圧幅の影響は支圧幅が小さいほど大きくなった。余長効果についても支圧幅が小さいほど大きくなった。また,余長長さ100mm以上であれは無限長とみなすことが出来た。さらに,幅はぎ接着のある試験体では幅はぎ接着のない試験体と比べCLTの部分圧縮強度が向上する可能性を示した。