2026 年 72 巻 1 号 p. 6-13
ヒノキ (Chamaecyparis obtusa) は,最高品質の建材であり,日本の人工林面積の25%を占める重要な造林樹種である。持続的なヒノキ苗木の植林には,大量増殖法が必要である。本研究では,成熟種子胚由来カルスからの不定芽形成による植物体再生系の確立を目的に実験を行った。胚を2,4-ジクロロフェノキシ酢酸 (2,4-D) と6-ベンジルアミノプリン (BAP) を含む改変Campbell and Durzan培地に植え付けると,緑色カルスが誘導された。緑色カルスを暗条件から明条件へ移すと,不定芽および多芽体が形成された。多芽体からシュートを切り離して植物ホルモン無添加の培地で培養するとシュートが伸長し,その後インドール-3-酪酸 (IBA) を0,3,6 µM含む培地に移植すると全ての培地で発根が認められた。植物体を土壌に移すと正常な生育が観察され,植物体再生に成功した。