2020 年 89 巻 1 号 p. 13-21
東京都山間部の浄水所では降雨時の原水水質変動に伴い、一時的にフミン質に由来する消毒副生成物の生成量が水質基準値を超過するリスクを抱えている。そのため、フミン質の蛍光特性や除去について調査した。各浄水所の原水を3次元分光蛍光光度法により分析した結果、ほとんどの浄水所で蛍光特性が一致した。蛍光強度と色度及び消毒副生成物の生成能の間に高い相関があるため、生成能を推定する式を導出し、色度による生成量の制御を可能にした。また、フミン質の凝集剤による除去はpH 値を低下させると効果的であることを確認した。これらの知見を浄水所の運転マニュアルに反映させ、消毒副生成物の生成量の制御に活用している。