抄録
水質管理目標設定項目である農薬類は物質の特性により検査方法が異なるうえ、複雑な前処理が必要な検査方法もあるため、検査結果が得られるまでに長時間を要し、水質事故時の迅速な対応に支障をきたす恐れがあった。本研究では、固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ質量分析計(SPME-GC-MS/MS)と液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS/MS)の2種類の分析機器を用いて前処理を簡略、自動化し、水質事故に対応可能な農薬類の迅速な一斉分析方法の開発を行った。開発した2つの分析方法を用いることで合計196物質が検出でき、147物質は真度50~150%、変動係数30%以下で定量可能である。また、分析時間は合計約2.5時間であり、農薬類を迅速に検出することが可能となり、水質事故対応力の向上に寄与した。