山階鳥類学雑誌
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短報
日本におけるシロガシラカツオドリSula leucogaster brewsteriの初繁殖行動
河野 裕美水谷 晃
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2015 年 46 巻 2 号 p. 108-118

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抄録

カツオドリSula leucogasterは,世界の熱帯から亜熱帯海域に4亜種が分布する.本種は島嶼間の移動が少なく,遺伝的交雑が低いと考えられてきた.しかし,東太平洋海盆を挟んで西側に生息する亜種カツオドリS. l. plotusが東方へ,東側に生息する亜種シロガシラカツオドリS. l. brewsteriが西方へそれぞれ分散して繁殖した例が報告されている.さらに,西部太平洋に位置する琉球列島南部の仲ノ神島において,2009年5月17日に頭部から頸部が白色の亜種シロガシラカツオドリの成鳥の雄1羽が飛来した.その後,2014年まで,同じ場所で同個体と思われる雄が断続的に確認され,2012年から2014年まで仲ノ神島個体群の繁殖スケジュールと同調して,亜種カツオドリと思われる雌と繁殖し,雛を巣立たせた.さらに2011年以降には,同島の別の場所で白色頭部の雄1羽が断続的に記録されるようになった.この雄は雌に対する求愛を行ったが,2014年までつがいは形成されなかった.本観察により亜種シロガシラカツオドリの日本における繁殖行動が初めて確認され,同時に別亜種の繁殖地に飛来した個体によるつがい形成から繁殖までの過程を記録できた.

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© 2015 公益財団法人 山階鳥類研究所
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