2016 年 47 巻 2 号 p. 59-93
アラン・オーストンは明治期の日本においてもっとも著名なナチュラリストの一人として自然史分野に知られる人物である。彼の貢献は過去の文献に紹介されているが,いずれも詳しい人物像などについては概略的情報しか示されていなかった。本総説では自然史分野のみならず技術史的な側面についても学術論文,学会記事,新聞記事などをもとに彼の業績を取りまとめ,特に当時の各方面研究者との交流関係や,彼が横浜に開いたオーストン商会で雇用した人物などにも焦点を当てて詳述した。これらの基礎資料が明治期日本の技術史や自然史研究における発展の解明に向けた一助となることを期待する。