アブラコウモリPipistrellus abramusは,国内では北海道南部から沖縄まで,都市やその郊外で最も普通に見られる種である.原則夜行性であるが,日没前後の明るい時間にも活動するため,昼行性の捕食性鳥類の餌となることがある.我々は2012年4月から2022年5月までの埼玉県川越市にある小畔川の河岸からの710日の観察で,飛翔中のアブラコウモリに対する昼行性鳥類の捕食行動を47件観察した.捕食行動を行った鳥類にはツミAccipiter gularis,チョウゲンボウFalco tinnunculus,ハヤブサFalco peregrinus,モズLanius bucephalus,ハシボソガラスCorvus coroneが含まれる.都市近郊にすむ昼行性の捕食者の鳥にとって,アブラコウモリが潜在的な餌となりうることを示している.