本研究に於ては1951年夏にプロラクチン注射を行つたプリマスロツク雄4羽の内B32(就巣)とno.38(不就巣)の2羽の♂に不就巣(B90),軽度の就巣(no.47,K370),強度の就巣(K245,K242)性を有する雌を交配して得たF1の第一年度の就巣性の有無を調査した。結果は次のようであつた。
1.不就巣雄に不就巣雌を交配したF1は不就巣であつた。
2.不就巣雄に軽度の就巣雌を交配したF1は不就巣であつた。
3.不就巣雄に強度の就巣雌を交配したF1は就巣するものとしないものとがあつた。
4.就巣雄に軽度の就巣雌を交配したF1は何れも就巣性を現はした。
以上は少数の実験の結果ではあるがプロラクチン注射によつて区別された就巣雄と不就巣雄とが就巣に関する因子型を異にして居るであらうという当初の想像が正しそうである事を示して居ると思う。又F1の示した就巣性の有無はそのものゝ持つ因子型と関係ありそうに考えられるが,数が少いからその点には今回はふれない事とする。しかし兎も角も此の結果はプロラクチン注射を利用して雄の因子型を確かめ,その結果によつて鷄の就巣性を除去しようとする計画が有望である事を示していると思はれる。