山階鳥類研究所研究報告
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シロチドリの抱卵行動,特に雌雄の分担と地表温の影響について
中澤 玲子
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1979 年 11 巻 1 号 p. 54-63

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抄録

1.千葉県幕張町地先の埋立地で,シロチドリの抱卵行動を繁殖の進行にともなう雌雄の分担,地表温とに注目して観察した。
2.抱卵の進行にともない抱卵(就巣)率は変化し,昼間の時間のうち,平均して産卵期77%,抱卵期前半90%•後半,89%,孵化期62%であった。
3.昼間の抱卵に関する限り,産卵期と孵化期には雄が主に分担し(86%),抱卵期には雌が分担した(84~85%)。また抱卵期の夜間は雄によって抱卵されることが推測された。
4.抱卵期に外気温が上昇した時とか,捕食者が営巣地近くに侵入した時には雄が抱卵を交替した。
5.地表温度31~33°Cの時に親鳥が巣をあける割合が最も多く就巣率は87%であった。それ以上でも以下でも就巣率は高く,それぞれ95%,93%であった。そして外気温に依存して親鳥の抱卵姿勢は変化し,35°C以下では低くうずくまり,34°C以上では卵をまたいで立ち,日陰を作る行動が観察された。
6.抱卵の進行にともなう雌雄分担の変化に関して産卵期に雄が抱卵分担することは,産卵のために雄より相対的に多くのエネルギーを摂取しなければならない雌に,採餌時間を保障しその結果として負担を軽減するのではないか,と考えられた。しかし孵化期については明らかでない。
7.地表温(外気温)に応じた抱卵行動の変化は卵温を胚の発生に好適な約35~36°Cの範囲に維持するために疑いなく適応的である。しかし,特徴的な抱卵姿勢や行動の微調節上の意義はこの研究では明らかにされなかった。

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