山階鳥類研究所研究報告
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シジュウカラの社会組織に関する生態学的研究
IV.基本群の構成員の番形成およびテリトリー形成
斉藤 隆史
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1979 年 11 巻 3 号 p. 172-188

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抄録

1.本論文は基本群の構成員の番形成およびテリトリーの形成について記述し,構成員の番相手の選定と基本群の主要行動圏内におけるテリトリーの配置を決定する要因について考察したものである。
2.調査は1968年の繁殖期から1974年の非繁殖期まで,赤坂御用地において行った。調査地は主に常緑および落葉広葉樹林からなり,ほぼすべての個体は標識されて,各々の経歴が明らかになっている。
3.番形成は基本群の崩壊後に行われ,基本群の構成員は主に同一群の構成員を番の相手に選んだ。構成員はドミサイルの重複によって結び付いているので,番形成にはこのドミサイルの重複が重要な役割を果していると考えられる。
4.基本群の構成員はその群の主要行動圏内にテリトリーを形成したが,成鳥雄はより好適な場所にテリトリーを形成し,若鳥雄はその他の場所を占めた。これは主要行動圏に対する成鳥の先住効果に起因していると考えられる。

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