1.日本列島とその近隣島嶼98島におけるキツツキ類11種の繁殖分布を,生態学的な観点から分析した。
2.ひとつの島で繁殖する種の数は,大きな島ほど多かった。
3.北海道や本州などの"本土"とその周辺部の島々の両方に分布する5種(アオゲラ,オオアカゲラ,アカゲラ,コゲラ,クマゲラ)について,周辺部の島々へのすみつき状況を調べてみたところ,面積や本土からの距離に応じて種による違いが認められた。
4.ひとつの小さな島で繁殖する種は,体の大きさや生態が著しく異なっていた。小形種に対する大形種の体の大きさの比は,翼長,嘴峰長,体重でそれぞれ1.4,1.8,3.4以上であった。
5.オオアカゲラとアカゲラ,アオゲラとオオアカゲラといった2種の組合せは,その2種が出合う機会がないために存在しないのではなく,その2種の生態がよく似ているために回避されているものと考えられた。
6.ひとつの島における3種の組合せも,種間の競合を最小限におさえることができるような,体の大きさや生態が異なる種からなっていた。