山階鳥類研究所研究報告
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オナガの生活史に関する研究(11)
繁殖手伝いおよびカッコウの托卵などについて
細野 哲夫
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1983 年 15 巻 1 号 p. 63-71

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抄録

(1) 1976年から1980年に,長野県上水内郡鬼無里村大字日影•鬼無里(西地区)で,オナガの年間の個体数の変化と繁殖について調べた。
(2) 積雪期間が12月末から4月上旬に及び,積雪1~1.5mの地域にも通年オナガは生息していた。調査地域内の地域群は1群で,最大個体数は約40~45羽であった。
(3) 6巣を発見した。うち2巣は非繁殖期の群行動圏外,約3.5kmの所であった。
(4) 営巣木は,モミ,スギ,カイヅカイブキ,ウメであった。産卵は6月初旬から7月中旬の間であった。1腹の卵数は,6~7卵で今までの観察例と似ている。3巣で不ふ化卵が1~2個みられた。抱卵日数,育雛日数も従来の観察と特に変った点はみられなかった。
(5) 1巣にカッコウが托卵した。カッコウの卵が4日前にふ化し,オナガの卵と雛を巣外へ出してしまった。小林建治氏によれば,塩尻市東山の1巣では,両者とも巣立った。
(6) 育雛期に,前年生まれの個体による手伝い行動が見られた。雛および雌への給餌,糞の始末,害敵の攻撃などが観察された。

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