1983 年 15 巻 2 号 p. 167-174
北海道羽幌町,天売島において,ウミネコ,オオセグロカモメ,ウトウ及びハシブトガラスの捕食及び防衛機構を1979~1981年に調査した。ハシブトガラスは4月下旬と5月には主要な卵捕食であり,6月下旬にはウトウのヒナを捕食した。オオセグロカモメは6月中旬にウトウのヒナを捕食し,6月下旬と7月にウミネコのヒナが利用可能となるとそれを捕食した。ウミネコの成鳥はヒナを捕食しているオオセグロカモメに対しモッビングと直接攻撃をしたがこれらの直接防衛行動が捕食成功率を下げているという証拠は得られなかった。オオセグロカモメとハシブトガラスは,ウトウのヒナが巣穴の口近くに出ている早朝にそれを捕食した。ウトウの巣穴営巣性と夜行性は捕食者に対する間接防衛機能を持つと考えられる。