山階鳥類研究所研究報告
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多奈川火力発電所周辺の緑のエリアと自然林における鳥類相の比較研究
山岸 哲
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1985 年 17 巻 2 号 p. 118-126

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抄録

1) 大阪府と和歌山県境にある多奈川火力発電所周辺の緑のエリアと自然林の鳥相を,1984年に比較調査し,9目24科42種の鳥を確認した。
2) 緑のエリアと自然林では出現種類数に大差はなかったが,緑のエリアのうちの植栽林に出現する種類は著しく少なかった。
3) 緑のエリアの鳥相の多様性は緑のエリア内の伐り残された自然林によって支えられており,植栽林にはまわりの自然林から鳥が拡散してきていることが示唆された。
4) 冬季,植栽林へ入りこんだ鳥のうち,大型の地上採食種(ドバト•シロハラ•ツグミ)が自然林よりも多く出現したが,これは植栽林の林床がすけているためと推定された。
5) 植栽林でキジバト(1巣)とヒヨドリ(5巣)の古巣を発見した。

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