1987 年 19 巻 2 号 p. 117-124
1982年12月から1984年3月にかけて東京-釧路間フェリー航路を,計11回往復し,ハシボソミズナギドリとハイイロミズナギドリの出現状況を調査した。両種とも全観察数の90%以上が4月から6月の春期航海に集中したものの,出現ピークは,ハイイロでは5月初旬,ハシボソでは6月中旬の調査時に認められた。この結果から,ハイイロでは少なからぬ成鳥群が,日本沿海部を通過することが示唆された。一方,盛夏,冬期間では,両種とも極めてわずかが観察されたにすぎなかった。6月中旬の調査時にハシボソでは出現鳥の50%を越える計1,468羽と,若干のハイイロに衰弱鳥がみられ,さらに,秋の渡り時の9月下旬から10月初旬の調査時にも出現鳥の10%近く(9羽)のハシボソに衰弱鳥がみられた。