タンチョウの成鳥22個体(雄8,雌14)の計測値を用いて判別分析による性別判定を試みた。説明変量として用いた計測部位は翼長(WL),尾長(TL),〓蹠長(LL),嘴峰長(BL)の4ヵ所で,分析により次の判別式が求められ,
Z=0.16887TL+0.01329WL-0.21827LL+1.06610BL-15.35077
Zの値の正負によって雌雄が判定された(Z>0:雄,Z<0:雌)。この式による的中率は85.7%を示し,雌雄の判別値における平均値の差は統計的に有意であった(df=20,t=9.144,p<0.001)。測定値から総合的に且つ多面的に性別を判定する当方法は,容易で即時性があり動物園や野外での性別判定法として有効であると考えられたが,今後更に多くの計測資料を収集し計測部位にも検討を加えることで,判別式をより正確なものにする必要性も示唆された。