山階鳥類研究所研究報告
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北海道積丹水域におけるハシブトウミガラスの冬季の食性
橋本 博明
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1993 年 25 巻 2 号 p. 166-173

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抄録

1) 1980年2月8日,北海道積丹岬の沿岸でホッケ刺網に羅網し,溺死したハシブトウミガラス11羽の胃内容物を調査した。
2) 空胃個体の2羽を除いて,胃内容物にはすべてイカナゴのみが出現した。多いものでは1羽の胃から,イカナゴが5-6尾,合計重量で約80-130g出現した。
3) イカナゴの全長と体重を,その相対成長式で計算復元した結果,ハシブトウミガラスは全長186-253mmのイカナゴを1度に合計重量で103.7-140.0g摂食していた。これはハシブトウミガラスの体重の7.0-12.5%にあたる。
4) ハシブトウミガラスは,夏季の繁殖期以外は陸に近づくことはなく,食性も無脊椎動物を中心とする多食性であることからすると,冬季にごく沿岸に分布し,単一種のみの魚類を摂食していたことは極めてまれなことと考えられる。
5) ハシブトウミガラスは,冬季,積丹水域に産卵のたあに来遊してきたイカナゴを狙って摂食活動をしていたものと考えられる。この海域ではホッケ,サクラマス,スケソウダラなどの魚食性魚類も来遊してイカナゴを摂食していた。ハシブトウミガラスはイカナゴをめぐってこれらの魚食性魚類と競合関係にあったものと推察される。

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