山階鳥類研究所研究報告
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茨城県波崎新港で衰弱死したクロアシアホウドリの胃中から見出されたプラスチック粒子
小城 春雄百瀬 邦和佐藤 文男馬場 徳寿
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1994 年 26 巻 1 号 p. 77-80

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抄録

1羽のクロアシアホウドリが1992年10月21日に茨城県波崎新港で衰弱し保護され,同年10月27日に落鳥した。標識番号から,このクロアシアホウドリは1992年4月21日に鳥島で雛時に標識付後放鳥された個体であり,孵化後約5ヶ月目で巣立ち,海洋生活期の4ヶ月目で飢餓のため死亡した個体と考えられた。
胃内容物を調べた結果,砂嚢から12個のプラスチック粒子が出現した。粒子の種類はプラスチック原材料粒子(レジンペレット)が2個,他は全てプラスチック製品類の破片であった。平均重量は70±56mg,色は白色4個,灰色5個,濃灰色2個,そして淡青色1個であった。
クロアシアホウドリは巣立ち時に前胃中のプラスチック粒子などの異物を全て吐き出してしまうものの(Sileo et al. 1993),砂嚢中のプラスチック粒子はそのまま保持されている可能性が高い。ハシボソミズナギドリでのプラスチック粒子類の胃滞在時間は約10ヵ月(範囲:3-12ヵ月)である(Day 1980)。これらのことから,クロアシアホウドリの胃中に見出されたプラスチック粒子類の多くは,繁殖地において親鳥から与えられた餌の中に混入し,巣立ち後も砂嚢中に残存していた可能性が高い。

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