山階鳥類研究所研究報告
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1994年1月の鳥島におけるクロアシアホウドリの繁殖状況と雛について
小城 春雄佐藤 文男三田村 あまね馬場 孝夫小山 均
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1994 年 26 巻 2 号 p. 126-131_1

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抄録

1994年1月20-28日に実施された鳥島のアホウドリの営巣地の分散技術の開発に関する調査時に,同島で同時に繁殖しているクロアシアホウドリの繁殖状況を調査した.
初寝崎の営巣地で親鳥により卵または雛が保護されていた巣の総数は103巣,そして燕崎の営巣地で観察された総個体数973羽より推定した巣の総数は450-500巣であった.これらから推定される鳥島の総繁殖鳥数は,内輪に見積もって1,106-1,206羽であった.
燕崎の営巣場での巣の設置場所は,ラセイタソウやイソギクの生えている植生地,そして砂や砂利状の火山砕屑物だけからなる裸地の二つに分類できた.なお,初寝崎の営巣場所の巣は全て植生地に作られていた.
巣上における孵化後の雛の調査時における出現率は,初寝崎(22.3%,観察巣数=103)より燕崎(52.5%,観察巣数=120)が高く,また雛の平均体重は初寝崎(317±96(SD)g,n=15)より燕崎(413±209(SD)g,n=63)が高かった.
燕崎の営巣地を植生地と裸地とに分けて,雛の調査巣数に対する出現割合と雛の平均体重を調査してみると以下のようになった.植生地;雛の出現割合37.3%(観察巣数=59),平均体重347±144(SD)g,(n=15),裸地;雛の出現割合67.2%(観察巣数=61),平均体重439±224(SD)g,(n=38).
鳥島のクロアシアホウドリは,雛の出現時期と体重から判断し,初寝崎よりも燕崎で早く産卵し,燕崎においては植生地よりも裸地の方が早く産卵したといえる.初寝崎のコロニーは,こちらに数巣,あちらに数巣,というように巣の分布はパッチ状であり,コロニーとはいっても未完成である.すなわち新設の営巣地であり,繁殖鳥の年齢構成は若齢鳥の多い可能性のあること等から,繁殖のタイミングが燕崎より遅かったと推察される.

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