山階鳥類研究所研究報告
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人為給餌と雌の年齢がイワヒバリの繁殖成功に与える影響
中村 雅彦
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1995 年 27 巻 1 号 p. 1-11_1

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抄録

1.ムキアワ,ムキヒエ,カナリアシードを用いた人為給餌が,イワヒバリの1歳と2歳以上の雌の一巣卵数,孵化率,繁殖回数,巣立ち雛数と雛の体重に与える影響を1986-1989年に乗鞍岳で調査した。
2.イワヒバリは平均で雄3.9個体,雌3.1個体の約7個体がグループを形成し,これらの構成員はひとつのグループなわばりを共有する。餌場をグループなわばり内に1~2カ所設定し,繁殖期にあたる5~9月まで継続して人為給餌を施した実験グループを17グループ,捕獲時以外餌場を設定しない対照グループを21グループ設定した。
3.人為給餌は1歳雌の繁殖開始時期を早あ,2歳以上の雌の開始時期には影響を与えなかったが,1歳雌および2歳以上の雌とも給餌が一巣卵数に与える影響は認められなかった。
4.人為給餌は,各年齢群の孵化率,繁殖回数,巣立ち雛数,雛の体重や餓死率に影響を与えなかった。
5.人為給餌の有無に関わらず,2歳以上の雌は1歳雌より早く繁殖し,より多くの一巣卵数,巣立ち雛数を生産し,重い体重の雛を育てたが,孵化率には年齢間で差は認あられなかった。
6.年当たりの繁殖回数は1歳雌より2歳以上の雌が多く,2歳以上の雌は1歳雌より年当たり多くの卵と雛を生産した。
7.実験•対照グループとも,各年齢の雌の一巣卵数と雛の体重は季節的に減少しなかった。
8.2歳以上の雌にとって早い繁殖は,年に2回の繁殖を可能にするため有利だが,人為給餌により産卵日を早めた1歳雌の43.8%の繁殖は,育雛期が梅雨に重なり雛が餓死で全滅したので早い繁殖は必ずしも有利でなかった。

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