山階鳥類研究所研究報告
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四川省西部に生息するシロミミキジの繁殖生態
呉 毅彭 基泰
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1996 年 28 巻 2 号 p. 98-102_1

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抄録

シロミミキジは世界的危急種に指定されている.筆者らは1992年4月~6月に中国四川省西部の甘孜州麻絨でシロミミキジの繁殖生態を調査した.この地域での代表的な分布地と繁殖地はともに標高3300m~4050mまでの亜高山の針葉樹林帯である.巣はトウヒ属の樹下,または斜面の岩下の地面に作られ,産卵数は6~9個であり,卵色は黄褐色で,斑があるのとないのがあった.一年の大半は群生し,繁殖期には一夫一婦制であった.抱卵日数は28~29日で,雌のみ抱卵した.孵化後まもなく,雛は親に従い巣を離れ,家族群からなる俳徊生活に入った.孵化は4巣中1巣のみで成功し,孵化成功率はかなり低いといえる.天敵はハシブトガラスとノスリや他の小形肉食動物であった.

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