1.東アジアのごく限られた湿原にのみ繁殖するオオセッカMegalurus pryeriの保全に役立つ情報収集のため,本州北部にある仏沼干拓地(青森県)で同種雄が生息する場所の植生構造を1993年の繁殖期に調べた.
2.オオセッカの雄が生息していた場所の植生構造は,生息していない場所の植生と比べ,とくにスゲ類(Carex spp.)の密度が高く,ヨシ(Phragmites communis)の密度が低かった.
3.これらの結果は,オオセッカの生息にはスゲ類の存在が重要な役割を果たしており,スゲ類を含む植生を維持することが,オオセッカの保全に重要であることを示唆している.
4.しかし,植生構造がオオセッカの繁殖成功度などに影響を与える機構についてはまだ不明な点が多く,より詳細な研究が必要である.