1997 年 29 巻 2 号 p. 83-90
絶食時におけるコシジロウミツバメ(Oceanodroma leucorhoa)の代謝量を温度条件16°Cで,開放回路法によって測定した。抱卵期における親鳥の体重当たりの酸素消費速度(夜,2.84ml/g/h;昼,2.10ml/g/h)は,育雛期における親鳥の値(夜,3.31ml/g/h;昼,2.98ml/g/h)よりも有意に低かった。しかし,絶食期間の長さは体重当たり酸素消費速度には影響を与えなかった。また,それぞれの繁殖ステージにおいて,体重当たりの酸素消費量は昼間よりも夜間で有意に高かった(1.1-1.3倍)。野外における抱卵鳥の体重(45.7±2.9SDg)は育雛期の親鳥(43.1±2.7SDg)よりも有意に重かった。したがって,抱卵期において,親鳥は雌雄平均3日交代で抱卵を行うが,静止代謝量を下げることと蓄積脂肪を消費することで,3日間の絶食に耐えているらしい。