山階鳥類研究所研究報告
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RAPD-DNA多型分析法によるトキ Nipponia nippon の血縁関係の検出
Zhiming HanFulai LiYan LiuBin Liu
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1999 年 31 巻 1 号 p. 39-44

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抄録

17個体のトキ(Nipponia nippon)が北京動物園で飼育されている。RAPD-DNA多型分析法を初めてトキに適用し,17個体中8個体の血縁関係を調べた。20種類の任意に選択したPCRプライマーを使って8個体のゲノムDNAからDNA断片の増幅を試みた結果,17種類のプライマーにおいて8個体すべてではっきりしたRAPDパターンが得られた。17種類のプライマーにより増幅されたDNA断片は合計168種類を数え,うち102の断片は8個体すべてが共通して保有する断片であった。spss/pc+プログラムを使った階層的クラスター分析によりこのRAPDデータから個体間の類似係数が計算され,類似係数行列を基に樹形図が作成された。この樹形図は8個体のトキの遺伝子レベルでの血縁関係を示す。この研究はすべてのトキの血縁関係の樹形図を作る基礎となり,トキの保護計画のより良い遂行に貢献するだろう。

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