山階鳥類研究所研究報告
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コヨシキリにおけるメイトガード行動のコスト
オスはいつメイトガードをやめるか?
濱尾 章二
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2000 年 32 巻 1 号 p. 1-12

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抄録

一夫多妻を目指すオスにおいて,第2メスを誘引する行動が第1メスのメイトガードに影響するかどうかを,コヨシキリを材料にして1997年に埼玉県で調べた。メスの受精可能期にはその後の時期よりも,オスがメスの5m以内にいる時間が長く,またオスーメス間の距離も近かった。オスはメスの動きを追尾したが,メスはオスを追尾しなかった。オスによるなわばり侵入は,独身オスのなわばりよりも営巣メスがいるなわばりに対してよく起きていた。ある侵入オスは,つがいオスがいない時にそのなわばりの受精可能なメスに求愛した。これらのことはつがい外受精の起こる可能性を示唆している。オスの中には,つがいメスの産卵期にさえずりを再開して一夫多妻を目指すものがいたが,この場合さえずりを再開するとメイトガードをしなかった。さえずりを再開した3羽のオスのうち2羽は,初卵産下日にメイトガードをやめ,明らかに受精可能なメスが防衛されない状態に置かれた。これに対して,さえずりを再開せず一夫一妻のつがい関係を維持した3羽のオスは,受精可能期を通してメスをガードした。第2メスの誘引をはかることは,第1メスのメイトガードを制限する要因になっていると思われる。

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