山階鳥類研究所研究報告
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マダガスカル特産ヘルメットオオハシモズEuryceros prevostiiの抱卵生態
ラコトマナナ ハジャニリナ中村 雅彦山岸 哲千葉 晃
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2000 年 32 巻 2 号 p. 68-72_1

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抄録

マダガスカル北東部に位置するマソアラ半島にて1999年10~11月にマダガスカル特産ヘルメットオオハシモズの抱卵期の巣を2巣(Nest A & B)発見し,雌雄の抱卵行動,胃内容物,精巣サイズと精巣熟度を調査した。Nest A,Nest Bはともに地上から2.3mの木の股の部分にコケ,植物繊維や小枝を巣材に椀形に造られ,いずれの巣も一巣卵数は3卵であった。抱卵行動を観察したNest Aでは雌雄は交互に抱卵し,一回の抱卵時間の平均は雌が72.5分,雄が80.0分だった。Nest Bでは抱卵初期の雄(体重は103g)を捕獲したがその直後に死亡した。この雄の精巣は成熟状態にあり,湿重量は体重の0.28%を占めた。胃内容物としてコウチュウ類3種が確認された。ヘルメットオオハシモズは一夫一妻種のため雌雄が交互に抱卵し,精巣サイズは体の大きさに比べ小さいと考えた。

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