山階鳥類研究所研究報告
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伊豆諸島鳥島におけるカンムリウミスズメの繁殖の可能性
鶴見 みや古佐藤 文男平岡 考前山 亮
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2001 年 33 巻 1 号 p. 54-57

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抄録

カンムリウミスズメは日本列島近海および韓国南部の小島で繁殖しているウミスズメ類で,生息数が少なく絶滅が危惧されている。かつてカンムリウミスズメは鳥島で繁殖の記録があり,同島で1930年から1935年にかけて採集された卵標本とヒナおよび成鳥の剥製標本がそれを裏付けている。しかし近年では,本種の繁殖は確認されていない。
2000年3月4日早朝,筆者らは鳥島西部•初寝崎の宿泊地の周辺で数羽の本種の声を確認し,同日,付近の断崖下(海抜約20m)の岩場で成鳥1羽の新鮮な死体を発見した。この死体には腹部に卵殻の破片が付着していた。解剖の結果,本個体は雌で,卵巣が発達しており,輸卵管内には卵殻の破片があった。この個体は産卵期にあり,島へ帰巣する際に岩に衝突し,その衝撃で輸卵管内の卵が割れて死亡したものと考えられた。さらに2001年2月22及び23日にも本種の声を確認した。
本種の繁殖期における卵を持った死体の発見と2年連続しての鳴き声の確認は,少数の本種が鳥島で繁殖している可能性を強く示唆するものである。

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