山階鳥類研究所研究報告
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沖縄島に生息するウグイスCettia diphoneの二型について
多変量解析によるリュウキュウウグイスとダイトウウグイスの再評価
梶田 学真野 徹佐藤 文男
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33 巻 (2001-2002) 2 号 p. 148-167

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抄録

南西諸島の中部に位置する沖縄島には亜種リュウキュウウグイスC.d.riukiuensis(Kuroda1925)のみが留鳥として繁殖分布すると考えられてきた。しかし,我々の調査により沖縄島に生息するウグイスには上面が褐色の褐色型と灰オリーブ褐色の灰緑色型の二型が含まれていることが判明した。これら二型間の生息時期及び形態の違いを明らかにし,分類学的扱いを検討するたあに沖縄島で捕獲調査を行った。その結果,褐色型が留鳥,灰緑色型が渡り性の越冬鳥であること,褐色型の方が灰緑色型よりも翼差が短く,鼻孔前端嘴峰長が長いなど13の形態形質中9形質に有意差が認められること,翼式にも型間で明確な違いがあること,多変量を用いた解析でも形態的な差が明確に認あられることなどが明らかになった。両型の測定値から作成した線形判別関数式(正判定率雄100.0%,雌96.9%)を用いてリュウキュウウグイスのタイプシリーズ(14標本)の判別を行った結果,全て灰緑色型に判別されたことに加え,測定値と羽色の類似性から灰緑色型はリュウキュウウグイスと同定され,越冬期のみに沖縄島に生息する渡り性の亜種であること,分類学上異名(synonym)の問題を持っていることが示された。一方,羽色の類似性から褐色型は絶滅したと考えられている南大東島の固有亜種ダイトウウグイスC.d.restrictaと推測され,線形判別関数式を用いてダイトウウグイスのタイプシリーズ(2標本)の判別を行った結果,いずれも褐色型に判別された。測定値や羽色の比較でも両者は良く一致した。以上のことから,褐色型はダイトウウグイスと同定され,南大東島のみでなく沖縄島にも留鳥として分布し,沖縄島では絶滅を免れていることなどが明らかとなった。

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