2002 年 33 巻 2 号 p. 198-203
この第3報では,エジプトハゲワシとカンムリワシ(共に上野動物園提供)の各1体の二,三の筋肉所見を報告した。エジプトハゲワシは右前肢(翼)の筋肉図(背,腹面)を図示した。それは長翼型の鳥類の基本的筋肉系であった。大胸筋には帆翔性を示す大胸筋深部があった。
カンムリワシでは,背面から見た筋肉系と右脚の脛筋分解図を示した。とくに宇回筋の腱と脛筋群との複雑な連繋が明らかとなった(但し各筋の腱は標本解剖上切断され各趾への連絡は確認できなかった)。また,本種は森林性,爬虫類食であり,森林上を帆翔はするが,長距離帆翔はしないことが,大胸筋の深部欠除(一般飛翔型)に示された。尚翼筋,脚筋の重量,体型測定も示した。