山階鳥類研究所研究報告
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栃木県において野外個体群の回復のために放鳥されたヤマドリの運命
川路 則友山口 恭弘矢野 幸弘
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2002 年 34 巻 1 号 p. 80-88

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抄録

栃木県において,野外個体群の回復のために放鳥されたヤマドリ養殖個体の運命について,狩猟者からの足環の回収報告結果およびラジオトラッキング調査から調べた。1989年から1997年にかけて放鳥されたオスのヤマドリのうち,放鳥時に装着された足環が狩猟者により回収されたのは1.3%であった。また,回収された個体のうちのほとんどが,放鳥されたのと同じ狩猟期に得られたものであり,2年以上生存した個体は,わずか0.3%に過ぎなかった。栃木県県民の森で行った放鳥ヤマドリに対するラジオトラッキング調査の結果,短い寿命(平均11.4日)であることがわかった。栃木県で放鳥した場所と足環が回収された場所との間の直線距離を算出したところ,それほど大きな値は得られなかったが(平均で14.6km),40km以上移動したと思われる個体が複数個体存在し,最高で87km移動した個体もあった。今回の結果から,現在の放鳥方法では放鳥の所期の目的を達成することは困難と思われる。そこで,オスの放鳥場所をこれまでの鳥獣保護区から可猟区にすることやメスを繁殖期直前に放鳥するなどの改善策を提言する。

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