山階鳥類研究所研究報告
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八重山群島西表島の鳥類
倉田 篤
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1966 年 4 巻 5 号 p. 358-370

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抄録

1.四日市南高校山岳部を主体として,八重山群島西表島の調査が実施され,1965年8月15日から25日にかけて,西表島及び仲ノ神島の鳥類を調査した。
2.今回の調査により,本島産新記録種7種を含めて22科38種の鳥類を記録した。これらのうち本邦との共通種は32種,台湾とのそれは37種であり,亜種まで一致するものは,本邦について19種,台湾について21種である。これは本島産の鳥類の構成が地理的に近い台湾との共通性の深いことを示しているといえる。
3.南西諸島は東洋区,旧北区との境界として,動物地理学上重要な地域であり,本島においても地理的及び生態的分布上の注目種として,スズメ,シマアカモズ,リュウキュウツバメ,アオツラカツオドリ,オオアジサシ,リュウキュウキジバトがみられた。
4.西表島南方の仲ノ神島には,クロアジサシ,セグロアジサシ,オオミヅナギドリ,及びカツオドリの4種の海鳥が繁殖しており,総個体数約20,000羽を記録した。それらのうち,クロアジサシ,セグロアジサシの両種間にはすみ分けがみられた。
5.仲ノ神島では毎年産卵期に採卵が行なわれており,今後貴重なる海鳥の大繁殖地として保護対策が早急に必要であると考える。

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