山階鳥類研究所研究報告
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オナガの生活史に関する研究(3).雛の食性
細野 哲夫
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1966 年 4 巻 6 号 p. 481-487

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抄録

1.オナガCyanopica cyanaの食性について,1965年7月に長野県下篠ノ井市西横田,および北小森で調査した。雛の食物はCollar methodにより細いビニルコードを使用して採取した。1回の適用時間は60分である。
2.雛に給与された食物は第1表および第2表のようであり,全部で29種類である。うち植物質はクワMorus bombycisの実1種だけであった。また,両地区に共通の種類はPlatypleura kaempferi, Eristalis cerealis, Armadillidium unglare, Morus bombycisである。
3.両地区の雛の食物の差異を環境および,個体の餌に対する嗜好差から検討した。
4.雛の食物で最も多いのは昆虫類で約72%に達し,Diptera 22%, Lepidoptera 16.3%, Coleoptera 9.2%, Orthoptera 6.4%の順である。それぞれの幼虫,蛹,成虫の割合は第1図のようである。
5.親鳥は雛の日令にかかわりなくクワの実,昆虫の幼虫,蛹,成虫を給与した。
6.雛の日令と餌の重量について検討した。雛初期は中期,後期の約1/2であった。

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