山階鳥類研究所研究報告
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カンムリニワシドリの観察
ディクズバリス S.
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1968 年 5 巻 3 号 p. 199-201_6

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抄録

著者はニューギニア在住の写真家で,1967年NHKと浦本昌紀氏の一行を本種の生息地に案内して協力されたが,今回貴重な一連の写真を本誌に寄せられた。ここに掲載して深く感謝の意を表する。
この種は,ニューギニア北西部の7,000~8,000フィートのHerzog山中にすみ,山路に沿う約2マイルの距離に6ケ所の跳り場を発見した。これは若木の葉を取り去り,根元に4~5インチに苔を積み,約12インチの広さの周囲の草をつみとり,苔を敷き,その外周を高めて輪とし,若木の幹のまわりに小枝を組み上は張り出すようにする。この構造は約1ケ月でできる。驚かすとその材料で別なところに柱をつくる。また,葉を噛んでつくったものを組んだ小枝の端にひっかけて飾りとする。飾り終ると常に同じ場所から出てゆき近くの枝から雌を呼ぶ。雌がくると跳り場にじっとうづくまって雌を見上げてその動作を見守る。雌が跳り場近くに降りると雄は枝を組んだ柱の反対側にかくれ"ジシシン"という音を発する。雌が去ると雄は後を追い呼び返そうとする。何回か来た後雌は去らずに柱をよく調べ,雄に向って跳ねる。雄はすぐ柱の反対側にかくれ,こうして円舞場で長いときは15~20分跳る。昂奮が高まると雄は長い冠を開き頭を左右に振って冠を傘状に水平に展開しかくれていた黄と橙の内部の羽毛をパッと見せる。雌が去ると2,3分は虚脱状態にあるが,柱を手直しして,しばらくの間跳り場を去る。しかし2ケ月の観察にもかかわらず交尾を見ることはできなかった(編者訳)。

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