山階鳥類研究所研究報告
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三重県におけるカラス科2種の就塒行動
倉田 篤樋口 行雄
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1972 年 6 巻 5-6 号 p. 489-506

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抄録

1.1963年から1967年にかけて,三重県に生息するハシブトガラスCorvus macrorhynchos,ハシボソガラスC.coroneの就塒行動について調査した。
2.本県における分布は,2種間にすみわけ的傾向がみられる。ハシブトガラスは山地から丘陵地に,ハシボソガラスは丘陵地から平地にかけて分布する。
3.採餌場から塒へは,採餌場-帰塒前集合-帰塒直前集合-塒という過程を経て,しだいに群れを形成して就眠する。
4.帰塒直前集合の形成過程において,集合の初期では2種間で集合地を異にする傾向がある。また,先着の群れの集合地が帰塒直前集合所となることが多い。
5.塒への飛来個体数は,照度とほぼ反比例の関係にあり,特に100Lux前後の飛来個体数が多い。
6.集合個体数の季節変動は,12~2月に最高,4~8月に最低を示す。これは繁殖期にはなわばり内で就眠するものが多く,また集団塒が分散しているためである。
7.夏塒は,北勢地区において7ヶ所が知られる。集合個体数は200~300羽であり,大部分は非繁殖鳥らしいが,一部には繁殖鳥も集合している。
8.北勢地区では秋塒は認められなかった。
9.本県に生息するカラスの冬塒は10ヶ所があって,そのうち8ヶ所が県内にある。塒は主に河川沿いにあり,集合範囲は400~500km2である。
10.塒は長年保全された森林が多く,本県ではクロマツ林が主である。
11.本県に生息するカラス2種の総個体数は,冬季の各塒における集合個体数の総計から,約20,000羽と推定された。

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