山階鳥類研究所研究報告
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東北大学植物園におけるシジュウカラ科鳥類の混合群の解析
IV 混合群形成各種の採餌習性と餌の奪いあい (supplantimg attacks)
小笠原 〓
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1975 年 7 巻 6 号 p. 637-651

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抄録

1) カラ類(Paridae)混合群を形成している各種群及び混群内各種の採餌習性を比較し,更に混群内各種の種間関係(interaction)を明らかにするため,東北大学植物園において1963年10月から1963年1月および1963年10月から1964年1月の2冬期間にわたって調査を行なった。
2) 各種群の採餌習性を加藤他(1952)の百分率信頼限界(90%)で比較検討した結果,エナガ(Aegithalos caudatus trivirgatus)種群では,樹皮(Bark)から餌をとる場合が多く,シジュウカラ(Parus major minor)種群ではBarkおよびGroundで採餌する習性が多かった。ヒガラ(Parus atar insulalis)種群ではFoliageで,キクイタダキ(Regulus regulus)種群ではFoliageで餌をとる場合が多い。すなわち,各種とも独自の採餌習性をもっているといえる。
3) 各種群及びエナガのいる(Mf+),又はいない混群(Mf-)においては,百分率信頼幅(60%)による比較の結果,エナガとシジュウカラの各種群の採餌習性には明らかな変化は認められなかったが,ヒガラ,コガラ,キクイタダキの3種では,各採餌習性を,Sf,Mf+およびMf-で詳細に比較すると,採餌習性の割合の一部で明らかな変化が認められた。これは,これらの種が他種の攻撃の影響を受けるためと考えられる。
4) 各種間の餌の奪い合い及び逃避行動から判断して,各種の攻撃性についていえば,シジュウカラが最も攻撃的であり,次いでヒガラで,その他,エナガ,コガラ,キクイタダキ等がこれに続くものと考えられるが,下位の種の間での順位は明らかでない。
5) 上に述べた混群内における各種の攻撃性の順位は混群内各種群の移動順序(Ogasawara,1970b)とはその趣きを異にしていると思われる。

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