化学教育
Online ISSN : 2432-6542
身近な物質を用いた授業展開の一試案(第 I 部 高校化学におけるミニマム・エッセンシャルズ)(<特集>高校と大学の化学教育の一貫性を求めて)
大井手 幸夫
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1984 年 32 巻 3 号 p. 194-197

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抄録

終戦後あまり物資がないころの話である。ある大学の卒業謝恩会で卒業生を送るため, 進駐軍から支給された頑(がん)丈な亜鉛引きの容器で大量の酢の物を作った。その残り物を食べた準備委員の学生たちは容器により重い中毒をおこした。この事故など, 日常生活の中での基本的な化学知識の欠如を物語っており, 授業で教わったことは試験が終わるとすっかり忘れ, 日常生活では全く役に立っていないという一例でもある。本稿は, 化学で学習する物質や項目の内容を精選して, 生活に役立ち, 身につく授業, 化学に興味を持たせ, 考えさせる授業を目標に, 身近な物質や材料を使って実験をおこない, そこから理論的内容と結びつけて学習させるという, 授業展開の一試案を述べたものである。最後に, 大学入試問題の内容についての希望意見も付記した。

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© 1984 公益社団法人日本化学会
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