化学教育
Online ISSN : 2432-6542
ライフサイエンスと明日の化学工業(化学への招待)
安井 昭夫
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1985 年 33 巻 2 号 p. 132-135

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抄録

資源の枯渇, 健康など現代人の不安感は大きい。しかし現在, 生命の根源を究明してえられた自然界の巧妙さを化学技術として利用できる段階に到達し, 化学工業の将来に輝かしい未来を約束した。精巧につくられた合成分離膜は腎(じん)臓病をはじめとして, 難病を次々に克服し, 新しい治療法を開拓しつつある。遺伝子の組み換え技術は医薬や農産物の世界に革新をもたらしつつある。天然には石油をつくる植物があるが, その機構がわかれば, 光と炭酸ガスと水から石油合成が可能となる。資源の少ない日本の将来を支えるのは, ライフサイエンス(life sience)を武器にした化学であり, これにより富と不老長寿を願った錬金術師の夢を次々に実現しつつある。

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© 1985 公益社団法人日本化学会
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