1986 年 34 巻 5 号 p. 384-385
生命現象は, 生体を構成している物質である分子の構造や, 化学反応を基盤として展開されていることはいうまでもない。したがって, 生命現象の探究には, 「化学」は欠くことのできない手段となる。とはいえ, 高校段階の生物教育の場に, 高度な化学的知識をもちこむことは, 「化学」と「生物」の学習が並行して進められている現状では望むべくもない。しかし, 化学的な着想をよりどころにして生命現象を捉え直してみることにより, 新鮮な発見が少なからず期待できる。次に, このような立場からの二, 三の事例を紹介する。