2008 年 46 巻 3 号 p. 187-193
20年前,茅野ら(1)は本誌に篩管による糖,アミノ酸,有機酸,無機イオンなどの栄養分の転流について解説している.その後,特異な生理機能をもつ機能性物質やシグナル(情報物質)が篩管を移行し,篩管内や生長・分化する器官や根において,いろいろな生理機能や遺伝子の発現を制御することがわかってきた.ここでは,篩管を移行する二次代謝産物,タンパク質,RNA,植物ホルモン,金属元素結合物質,そして器官の発達や養分吸収を制御するシグナル物質などを解説し,葉を中心とした植物全体の制御システムについて考察する.