2008 年 46 巻 6 号 p. 392-399
抗体の生産によって個体に抗原を捕捉するという能力を与え,その結果として新たな生理機能を与えることをイムノモジュレーションと呼ぶ.植物のイムノモジュレーションの研究例も増加し,その技術的な面に一定の理解が得られてきた.植物ホルモン類の機能抑制による成長調節や,様々な代謝系の攪乱など,遺伝子レベルでの制御に匹敵する効果も示されつつある.多様な認識特性という抗体のもつ利点をいかに生かせるか,イムノモジュレーションの現状と将来への展望を概説したい.