2008 年 46 巻 9 号 p. 608-613
[NiFe]ヒドロゲナーゼは,水素分子の可逆的な酸化還元反応を触媒する酵素で,活性部位にはシアノ基と一酸化炭素基を配位子にもつNiとFe原子の金属クラスターがある.この複雑な金属クラスターは,生体内で自発的につくられるのではなく,成熟化因子と呼ばれる特異的なタンパク質,Hypタンパク質群の助けによって,段階的に組み込まれて生合成される.最近,Hypタンパク質の立体構造が相次いで決定されて,[NiFe]ヒドロゲナーゼ成熟化機構についての構造生物学的研究は,新しい進展を見せている.