2010 年 48 巻 12 号 p. 831-838
鉄硫黄(Fe-S)タンパク質は,細菌から高等動植物までほぼすべての生物に存在しており,エネルギー代謝や遺伝子の発現調節をはじめ,様々な生体反応で多彩な役割を果たしている.これらFe-Sタンパク質の機能を支えているのがFe-Sクラスターの生合成系である.これまでに3種類の独立した生合成マシナリー(NIF,ISCおよびSUF)が同定されており,それらの中では複数の酵素・タンパク質が協調してFe-Sクラスターをつくり上げている.ここでは,マシナリーの核としてFe-Sクラスターの de novo 形成を担うタンパク質複合体の構造を中心に,マシナリーの作動機構を概説する.