化学と生物
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共発現情報から見る遺伝子機能ネットワーク
大林 武木下 賢吾
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2011 年 49 巻 1 号 p. 48-56

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抄録

配列解析技術の進展により,多くの生物種において生命の設計図であるゲノム配列が明らかにされ,生命を形づくる基本部品である遺伝子が網羅的に同定されてきている.しかし,塩基配列や遺伝子の有無だけではその生命を理解するには不十分であり,すべての遺伝子の機能とそれら遺伝子間の機能的関連を明らかにする必要がある.遺伝子の関係性には,転写因子と被制御遺伝子のような緩い繋がりもあれば,超分子複合体のサブユニットのようにいかなるときにもパートナーとして働く強い繋がりもある.機能パートナーの特定は,遺伝子機能を理解する上で必須であり,様々な実験が用いられるが,すべての可能な機能的関係をすべての遺伝子ペアに関して実験で検証することはきわめて困難である.そこで,計算による可能性の絞り込みの必要性が出てくる.ここでは,「様々な異なる状態で発現が連動する遺伝子群(共発現遺伝子群)は機能関連遺伝子群である」という発想に基づき,機能関連遺伝子の絞り込みの試みについて述べる.

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© 2011 by Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
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