2011 年 49 巻 3 号 p. 161-169
植物の発生・分化,生長,環境応答などの多くは植物ホルモンと総称される様々な低分子化合物によって調節されていることは古くから知られていた.しかし,植物ホルモンの生理作用の研究は盛んであるにもかかわらず,植物ホルモン受容体によってどのような分子認識がなされているかが原子レベルで明らかになってきたのは最近のことである.特に植物ホルモン受容体の構造決定により,今後さらなる植物ホルモンの受容やシグナル伝達のメカニズム解明と理解が期待される.ここでは,最近明らかになった代表的な植物ホルモンであるアブシジン酸,ジベレリンおよびオーキシン受容体の立体構造を中心に総説する.