2012 年 50 巻 5 号 p. 337-344
「健康で長生きしたい」は,多くの人の願いだろう.近年の健康ブームとも相まって,人々の健康長寿への意識はますます高まっている.食による健康維持や,薬による老年疾患の克服などを通して健康長寿社会を構築するためには,寿命や老化に関する基礎知識の蓄積が必須である.近年,寿命の決定機構に関しては,ヒトから酵母まで共通性があると指摘されている.細胞レベルでの寿命・老化研究に適したモデル生物である酵母を用いて,寿命制御機構の理解を目指している研究を中心に,細胞寿命研究の現状を紹介するとともにその将来を展望する.